本州最南端の和歌山県串本町で近く、国内初の民間小型ロケット発射場が完成する。この土地は関西電力が原発建設を計画し、断念した後に町に寄付したものだ。地元はロケットでの町おこしを図る。原発計画が頓挫した土地は全国各地にあり、跡地利用は様々だ。
紀伊半島の先端近く。太平洋のリアス式海岸沿いの国道42号を車で行くと、白い建物とロケットの写真の横断幕が見えてくる。ロケット発射場「スペースポート紀伊」の総合指令棟だ。
キヤノン電子や日本政策投資銀行、清水建設などが出資する「スペースワン」(東京)が建設する。2021年度中に1号機を発射する計画で、20年代半ばには年間に20機の打ち上げを目指す。ロケットに搭載した衛星で地上の画像を撮り、分析して産業に生かす構想だ。
串本町は人口約1万5千人。「ロケットの町」をPRし、打ち上げを見に来る観光客の呼び込みを図る。小中学校で宇宙産業を学習する機会を設けている。和歌山県は、観光などの経済効果を10年で670億円と試算する。
東京ドーム6個分 経済効果は「10年で670億円」
町はスペースワンから発射場建設の申し入れを受け、19年に町有地など約130万平方メートルを同社に無償貸与した。期間は20年間だ。
町によると、貸与した土地には、関電が町へ寄付した約30万平方メートルが含まれる。東京ドーム6個分ほどの広さにあたる。関電が原発計画のために買収した山林などという。
ロケットが飛び立つ予定の串本町は、1970~80年代、原発計画を巡って町民が二分されました。ロケットは町に夢をもたらすのか。記事の後半では、全国各地の原発計画跡地の現状も報告します。
関電は福井県に次ぐ地域とし…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル